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照明のトリビア [技術スタッフ制作レポート]

舞台装置の壁にはたくさんのオブジェが飾られていますが、あるナンバーが始まると、それに関連するオブジェが光ります。
ご覧になった方はお気づきになったでしょうか?

例えば2幕の「Don't Do Sadness(悲しみよ 消えろ)/Blue Wind(青い風)」。
偶然再会した幼なじみのモリッツとイルゼが掛け合いながら歌う曲です。
父親に見放され、行き場を失ったモリッツが歌う時は、その後ろで男性の肖像画が光ります。
一方、父親から性的虐待を受けて家出をしたイルゼが歌う時には、青い蝶の羽が浮き上がります。

090609sablg01.jpg
(撮影:上原タカシ)


男性の肖像画は、モリッツの先祖を表しているそうです。厳格な一族の家に生まれたモリッツは、この家系に対して常に重圧を感じていました。
蝶の羽は、イルゼを表しています。抑圧され続けたモリッツとは反対に、自由を求めて外へ飛び出したイルゼ。ただし心は傷つき、羽も片方しかありません。

また同じくこのシーンではもうひとつのトリビアがあります。
「モリッツ=赤」、「イルゼ=青」が象徴色になっていて、モリッツが歌う時は赤の照明、イルゼが歌う時は青い照明に切り替わります。
ここでは「赤=抑圧」、「青=自由」を意味しているのだそうです。

「The Dark I Know Well(秘密の夜)」「Left Behind(消えゆく面影)」など、壁飾りのオブジェは他のナンバーでも光りますので、この様々な仕掛けを見つけてみてください。

(『春のめざめ』照明スタッフ・F)

コメント(2) 

コメント 2

かさまつ

 やはり、そういった意味が込められているのですね。

 舞台を拝見しながら、照明が変わるところに注目して、「こんな感じの意味だろうな」と思っていましたが、はっきり教えていただいて、納得しました。

 照明の色の違いは気づいても、意味がわかっていなかったので、また次回以降の観劇で確認します。
by かさまつ (2009-06-09 17:03) 

ミワ

先日、二回目の観劇をしてきました。
今回は二階席だったので、照明を含め、舞台の演出が良く見えました。

記事にある青い羽や肖像画、とても印象的だったのでよく覚えています。
モリッツのバックの厳しい老人は誰だろう?お父さんではなさそうだけど……と気になっていたので、ここで知ることが出来てとても嬉しいです。
彼が背負わされていたのは、今現在の厳格な家庭だけでなく、もっともっと古く、巨大なものだったのですね。
次に観るときには、より深く心に刺さるナンバーになりそうです。

照明で浮かび上がるオブジェといえば、墓場のシーンで、左上のほうの丸い額縁に黄色い光が当たって、月のように見えるのも好きです。
場面の転換が無い舞台ならでは、騙し絵のように隠されたモチーフにわくわくしてしまいます。

公演が始まってからもブログを続けていただいて、とても嬉しいです。
バンド演奏を見るのが大好きなので、先日の、N口さんの記事も感激しました!
バンドの皆さん、本当に素敵です。開演前に軽くリズムを取ったり、音あわせ(というのでしょうか)をしたりしているだけでもすごくクール!演奏とお芝居を両方全部観たいのに、目が足りません!(笑)
ストリングス隊の皆さんも、よく見えるように真ん中にいられたらいいのに、と思ってしまいます。

そういえば、俳優の方もたまにピアノを演奏されているんですね。
レッスンのシーン以外にもゲオルグがピアノを弾いている(「秘密の夜」?)のを見て、かっこよくてドキドキしました。あと、イルゼも弾いていたような……?次回、頑張ってチェックしてこようと思います!
by ミワ (2009-06-09 22:43) 

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